【Fate】玉藻前とは善か?悪か?九尾の狐の正体は天照大御神!?【封神演義】

【Fate】玉藻前とは善か?悪か?九尾の狐の正体は天照大御神!?【封神演義】

これまで、玉藻前の過去編として、中国の妲己、インドの華陽夫人、そしてまた中国の褒姒と見てきましたが、最終的には日本に流れ着き、「玉藻前」となり、殺生石と言う石になって成仏した。と言う一連のお話をしてきましたが、玉藻前の正体である白面金毛九尾の狐とはいったい何なんでしょうか!?そして、彼女は善か?悪か?その正体について迫って行きたいと思います!

その前にまず、褒姒となった狐がどのようにして日本に来たのか?と言うお話をしたいと思います。

白面金毛九尾の狐、遂に日本に渡って来る

『皇国二十四功 吉備大臣』月岡芳年

前回、褒姒は処刑されたあと、自分の息子である伯服は「たちまち美しい女に姿を変えて何処へともなく姿を晦ましました。」とありましたが、褒姒はその息子に乗り移り美しい女に化けて虎視眈々と次のターゲットを狙うべく息を潜めていたのです。

そして、時は流れ、中国で言うところの唐の時代、日本では聖武天皇の時代(724年~749年)になっていました。

当時「遣唐使」として、日本は中国に留学させていて、(実際には交換留学)「吉備大臣・吉備真備(きびのまきびし)」と言う人が遣唐使として中国にいました。*ちなみに、吉備真備は手塚治虫の「火の鳥・鳳凰編」に登場します。

そして、735年に唐での勉強を終えて日本に帰る船を手配し、いざ日本に出航してから、2日経った時の事。

吉備大臣の船になんと28歳くらいの美しい女が静かに座っているではないですか!

ビックリした大臣が「そなたはなに者だ?!なんの断りもなく船に乗っているとわ!」と言うと、女は「私は、玄宗天皇の家臣、司馬元脩(しばげんしゅう)の娘、若藻(じゃくそう)と申します。あなた様が唐で立派に成長されて帰ると聞き、ともに日本に渡りたいと思っていましおたが、両親に反対されると思い、密かに船に乗りました。どうか私を日本に連れてって下さい。叶わないのなら今海に身を投げて鮫の餌になります。」と願い出たのです。

最初は怒っていた大臣もそんな話を聞かされたら断ることも出来ず、「そなたの願いとあらば日本につれていくことは安いことだ、母国を離れるのは心細いことだろう。後ろの部屋で休みなさい」としぶしぶ了承すると、女は嬉しげに頭を下げて喜んだ。

こうして、ほどなくすると船は筑前・博多の津に到着し、女も船から出たがどこかに消えていたと言うことです。

なんだかセアカゴケグモのように船に忍び込んでまんまと日本にやってきた若藻ですが、これから表舞台に現れるのは、なんと、その後約370年経ってからのことなんですね~。



九尾の狐「藻(みくず)」となる

坂部行綱「絵本三国妖婦伝」高山蘭山

時代は堀河天皇(在位1087~1107年)の治世。先の天皇の白河上皇に仕えていた坂部庄司蔵人行網(さかべのしょうじくらんどゆきつな)と言う武士が1098年の春に毎日の日課であった清水寺の参拝の帰りに、藪の中にいた生まれたばかりの赤ちゃんを拾います。

赤ちゃんは絹の綺麗な布にくるまれていたので、「おそらくどこぞの貴族が若気の至りで捨てたのだろう。私は40を過ぎても子供のいない。よく見ると玉のように可愛い女の子を清水の観音様が授けてくれたのだろう。」と思い連れて帰って、さっそくこの話しを妻に言うと妻は「こんな幸せなことはありません。」と行綱夫婦は赤ちゃんを大切に育てました。

それから、7夜のお祝いをした後に娘を、「藻(みくず)」と名付けました。由来は、水草が生えてもどこから生えてきたのか分からない、この子も親が誰だか分からないことに例えて。



藻、宮中に上がる

それから7年経った1104年の春のこと、天皇からの‘‘和歌”お題が出されました。

ですが、そのお題が難しかったので、誰も答えられず行綱も困り果てていた所、娘の藻が「父の代わりに天皇の前に出て和歌を詠みます」と言ったのです。

藻はまだ7歳。しかも、和歌も習ったこともないので行綱は無理だと言ったのですが、藻は「私は若いけれど朝廷が怖いとも思いません。歌が出来たのでただ贈りたいだけなのです。しかも、私は若いのでそんなに良い詩でなくてもお許し下さるのでしょう」と言うので、沢山の貴族が集まる中、和歌を詠ませてみたらこれが大成功!7歳の少女が詠む詩ではない!これは天才少女だ!と評判になって藻は藻女(みくずめ)として宮中に上がることになりました。



藻女、「玉藻前」になる

玉藻前。楊洲周延画「東錦昼夜競」明治19年(1886年)より

それから10年の月日が流れ、女官として宮中へ上がった藻女は17歳に成長していました。彼女の和歌の才能は小野小町や紫式部にも劣らないと言われ、またその容姿も大変美しいと評判で、いつしか、時の天皇鳥羽院に寵愛されるようになっていました。

さあ、ようやくターゲットが決まりましたね!(汗)

そして、1120年の秋に事件は起こります。

前年に皇子(のちの崇徳天皇)が産まれたので、内祝いのために大臣や公家の面々が集まり、高揚殿にて宴が催されていた時のことです。秋の月に雲が不気味に覆い、雨が降ると突風が燈台の火が一つ残らず吹き消されてしまった。辺りは闇に包まれてしまったので、公家や家臣は「早く松明をもって来い!」と叫んだ。

その時、突然今まで真っ暗だった高揚殿はたちまち白昼のような明るさに照り輝き、屏風や、ふすまに書かれた絵までもがハッキリと見えるようになった。

周囲の人達は「これはどうしたことだ!?」とパニックになっていると、なんと、その光は藻女の身体から出て光を放っていたのです!

言うなれば藻女が電飾全身タイツ着ているかの如くです!(笑)

これを見た鳥羽天皇の反応はと言うと「藻女は生まれながらの才女だし、仏の教えも理解していて心に曇りがないからこんなこともあるだろう!」と、‘‘おかしい”や‘‘変”と思うこともなくむしろ喜んで、その場で「玉」の字を授けて、「これからは、玉藻前と名乗りなさい」と言ったのです。*昔は、「名」を与えるのは、偉い人のお仕事でもあった。

こうして、藻女は「玉藻前(たまものまえ)」となったのですね~。

もちろん、家臣の中には玉藻前の身体が光ったことへに不信を抱く者もいたのですが、この一件でむしろ感激してしまった鳥羽天皇はより一層玉藻前を寵愛するようになったと言ういつもの、白面金毛九尾の狐のお約束パターンです。

それから、殺生石の件でお話した九尾の狐の展開になっていくと言う訳です。



玉藻前である白面金毛九尾の狐は善か?悪か?

白面金毛九尾の狐は、妲己、華陽夫人、褒姒となり、最終的に玉藻前になって終わりますが、4人全員が「悪女」とされています。(末喜入れれば5人)

今まで、玉藻前の過去編である物語を見てきましたが、彼女たち見ての通り悪いことやってます(笑)

4人全員ワルです(笑) ですが、本当に「悪である」と言い切れるのでしょうか?とアニスピカでは考えています。

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ターゲットにした男達は全員悪

まず、ご覧いただきたいのは、4(5)人が‘‘ダメ”にした男達。

(末喜→桀王)
妲己→紂王
華陽夫人→斑
褒姒→幽王
玉藻前→鳥羽天皇

この4人(桀王入れたら5人)の男達、そもそもが全員ワルです。(笑) 紂王の悪事は妲己の記事で見ても、‘‘暴君”の代名詞ですし、斑足太子も実は‘‘トラの子”であり、食人鬼の鬼の大将であったなんて伝説もあるぐらいです。

幽王も、悪い王でありましたし、最後の鳥羽天皇と言えば、先ほど藻女が光ったエピソードに出て来た皇子、つまり、崇徳天皇を無理やり退位させ近衛天皇を新しい天皇にさせました。

崇徳天皇と言えば日本三大怨霊として有名ですが、崇徳天皇を怨霊にさせたきっかけを作ったのが、鳥羽天皇であります。

ですから、鳥羽天皇もワルです。(汗) 玉藻前だけが悪であると語られていますが、鳥羽天皇も十分悪です。ちなみに、鳥羽天皇が崇徳天皇を追いやったのは1141年で、玉藻前は1120年に鳥羽天皇の元を去ったので、玉藻前がそそのかせたのではないと断言出来ます。

●玉藻前のモデルになった女性がいた

実は玉藻前のモデルになった女性と言うのがるんです。「藤原得子(ふじわらのなりこ)」と言う女性です。1134年頃から鳥羽天皇の寵愛を受けるようになった得子は、崇徳天皇の代わりに天皇になった近衛天皇の母親です。

玉藻前のモデルになったと言うことは、「得子が鳥羽天皇をそそのかせて自分の息子を天皇にさせた。」と言いたいのでしょうけど、得子ひとりの力では無理があります。実は「藤原忠道」と言う人が裏で手を引いていた、と言う話があります。ですが、どちらにせよ結局、崇徳天皇が怨霊になるきっかけを作ったのは鳥羽上皇で間違いありません。

ちなみに、鳥羽天皇は自分のことを「わたしの出生は人力によるものではなく、神のしわざである」と自賛しています。ようするに「自分は神に選ばれた人間である」と言っていますが、果たしてそうであると言えるでしょうか?と疑問に思います。

●易姓革命を思い出してみよう

と、ここで前回でもお話した中国古典である「封神演義」の「易姓革命」を思い出してみましょう。

「天が王を定めて、その天が王を見限った時に革命が起きる」

この言葉から考えてみれば、この4(5)人の王は天から見限られた王であると思いませんか?!そもそも、王を辞めてもらいたいがために九尾の狐に指令を与えもっとダメな王様にさせた。と考えられます。

実際に、4(5)人の王は人の上に立つべき人ではないし、天から見限られて当然なことをしています。

前回でもお話しましたが、白面金毛九尾の狐はこの4(5)人を失脚させるべく、天(神)から使わされた存在であるとアニスピカでは考えます。

ですが、玉藻前は鳥羽天皇を失脚させることは出来ませんでしたね。失敗しています。

インドの斑足太子の時も失敗していますが、もう一つの伝説では斑足太子は須陀須王によって改心したと伝えられていますから、失敗してもカバーされたと考えられます。

が、鳥羽天皇の場合「天下を政(まつりごと)するのは鳥羽上皇一人なり」と周りから評されたほどで、家臣もイエスマンばかりでした。だから、自分でも「神に選ばれた人間」と言うくらい、悪く言えば調子に乗っていたと思います。

もし、玉藻前が鳥羽天皇失脚に成功していたら、崇徳も怨霊にならずに済んだのかもしれません。もしかしたら、玉藻前は神様に「失敗するんじゃない!!」と怒られたかもしれませんね。(笑)

では、その天、神様とはだ~れ?ってことですが、これも「封神演義」に書いてありますね!



女神、女媧

中国古典「封神演義」に登場する女媧(マレーシア)

封神演義では、この中国の女神、女媧に使わされて妲己は紂王を失脚させた。となっています。この一連の話は漫画・アニメ「封神演義」にも出てきますね。

そして、女媧が紂王を失脚させるために使わせたのは本当なんですが、中国古典では「そこまでしろとは言ってないー!」と九尾の狐を怒ります。そのために太公望に妲己を殺させてお灸をすえた。と言う訳です。

*藤崎竜先生の漫画「封神演義」では、ラスボスは女媧となっています。

ただ、この話はあくまでも中国の殷から周の時代を舞台にした「封神演義」の中の「妲己と紂王」の話なので、その他、華陽夫人や褒姒、玉藻前ついては神様の指令であったとの話はどこにもありません。

ですが、華陽夫人はじめ4(5)人の女性全員に共通する理由であると、アニスピカでは考えています。

では、すべて中国の神様である「女媧」がインドでも、日本でも命令したの?と思われるかもしれませんが、、、ここで需要なこと言いますが、「女媧」は中国でだけの名前です。

実は、女媧とは中国だけの神様ではないと言うことです。

これはアニスピカ説ですが、女媧はインドでは「ラクシュミー」日本では「天照大御神」だと考えています。ってことは名前が違うだけで、実は同一神です。ですので、インドや日本で指令することは可能と言うことになります。

例えば、中国では女媧が妲己と褒姒(末喜も)に指令を出す。インドではラクシュミーが華陽夫人に指令をだす。
日本では、天照大御神が玉藻前に指令を出す。

と考えれば納得できます。と、ここで注目してもらいたいのは、「天照大御神」です。



Fateの玉藻前が天照大御神になる謎

出典:玉藻の前 │ Fate/EXTELLA(フェイト/エクステラ) 公式サイト

実は、玉藻前と天照大御神は深い関係にあります。

Fateシリーズでも、玉藻前キャラが出てきますが、Fateでは玉藻前の本当の姿とは「天照大御神」であると言う設定になっています。

これ昔から言われている説でもあります。上記の物語の中にあった藻女が「玉藻前」になったエピソードで藻女の全身が光りましたよね?その‘‘光る”→日光の様な光り→天照と連想させます。

Fateの玉藻前の宝具の名も、水天日光天照八野鎮石と、‘‘日光”と‘‘天照”の文字が入っています。

また、玉藻前が光ると言うのは絵本三国妖婦伝だけではなく、室町時代の「神明鏡」や御伽草子「玉藻前物語」、「玉藻の草子」などでは玉藻前の死骸の額にあった‘‘白い玉”が夜を昼間のように照らしたと語られています。

そして、天照大御神のご神体であるとされる「八咫鏡(やたの鏡)」も登場するようになります。

絵本三国妖婦伝では、八咫鏡のレプリカを玉藻前が奪おうとするが失敗すると言うストーリーです。

江戸時代になると、お岩さんの「東海道四谷怪談」でお馴染みの鶴屋南北が書いた歌舞伎「玉藻前御園公服(たまものまえくもいのはれぎぬ」では、八咫鏡の奪い合いが勃発して、鏡を手に入れた玉藻前が身から光を放つと言うストーリーが作られました。

このように、玉藻前、及び白面金毛九尾の狐と「天照大御神」と同一であると考えられているのです。

「鏡」と言えば妲己のお話でも、太公望が雲中子から「照魔鏡」と言う鏡を授かって妲己の正体を暴きますよね!



玉藻前の正体とは天照大御神!?

天照大御神のイラストを検索すると、みんなこのように「額に光る丸いもの」が付けられています。上記でお話したように、「玉藻前の死骸には白い玉がついており、昼間のように照らした」とあることから、玉藻前と天照大御神の「額の丸いもの」は共通するものがあります。

と、言うことで白面金毛九尾の狐の正体は天照大御神か!?と考えられますが、、、

ここで、一つの疑問が浮かびます。

「白面金毛九尾の狐は悪いんじゃないの!?」、「でも、天照大御神は良い神様だよね?辻褄合わなくない?」と考える方も多いでしょうが。

実は、天照大御神には良い(優しい)神様である側面と、怖い神様である側面とがあります。

「仏の顔も三度まで」と言うことわざがあるように神様も怒ります。

その、怒った神様の側面は「天照大御神の荒魂」と呼ばれていて、伊勢神宮に祀られています。

そして、どのように怖いのか?と言うと荒魂は主に、「悪いものを倒す」時に怒って荒魂となります。どんな人でも怒る時は怖いですよね?神様が怒ったらなおさら怖いって話です。それと同じで天照大御神が怒った状態が「荒魂」ですので、怖いと言うことです。

ですので、今までのことを総合して考えてみると。

王の悪行に怒った女神(天照大御神や女媧の荒魂の状態)が、白面金毛九尾の狐に指令を出して。ダメな王を更にダメな王にさせて失脚させるなり、処刑させるなりした。

と、アニスピカでは結論づけられると考えます。白面金毛九尾の狐は悪だとされていますが、これは「必要悪」な存在であったと言えます。ですので、玉藻前は善でも悪でもない必要悪!(笑)

まぁ、普段優しい神様が怒った姿を第三者の目から見て「悪」と捉えられても不思議ではないくらい荒魂とは恐ろしい存在ですので、「悪」と呼ばれた玉藻前と混同されてもおかしくはないと思いますが・・・

やはり、天照大御神と白面金毛九尾の狐はやはり、別物であります!

さあ、これで白面金毛九の狐の正体が分かりましたね!と言いたいところですが・・・・

まだまだ疑問が残されていますね!なんで、別物である天照大御神と九尾の狐が混同されてしまったのか?や、狐ってそもそも天照大御神じゃなくて「荼枳尼天(だきにてん)」の使いじゃないの!?

なんて、沢山の疑問が出てきますが、、アニスピカはそれらの疑問全てに突っ込んで行きたいと思います!(笑) ですが、九尾の狐やもともとのお狐さんと呼ばれる神様については一旦ここで終わりにします!もう、本当長いので!(笑) 

お狐の話は本当に深いです!そして、同じくアニメにも玉藻前だけでなくお狐さんは沢山登場しますので、今後少しづづ解明していきたいと思います!

その前には、まず、そのすべての始まりの鍵を握る神様、「天照大御神」のことをお話しないとはじまりません!実は・・・天照大御神は本当の名前は「瀬織津姫(せおりつひめ」と言います!

ですので、次回は瀬織津姫のお話をしたいと思います!お楽しみに!